ロボになりたい
この作品をご存知だろうか。
2007年に放送されたテレビドラマで、7色の声を持つ女子中学生「ニコ」(大後寿々花)とロボットオタクの青年「ロボ」(松山ケンイチ)が様々な難事件の解決に挑む物語である。
ストーリーや登場人物について気になる方は「セクシーボイスアンドロボ あらすじ」などと検索して欲しい。
この作品が放送されていた当時、僕はニコと同じ中学2年生だった。
当時の僕はニコに一目惚れし、「こんな女の子が身近にいたら良いなあ」と思っていた。
ニコはとてもかわいかったし、中学生としては大人びていてカッコ良かった。
対してロボは、当時の僕にとって「オタクの青年」でしかなかった。
ロボットのことばかり考えていて、どこか頼りない大人。そんな印象だった。
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あれから十数年の月日が経ち、僕は大人になった。
いま改めてこの作品を見返した時、当時とは違った視点で見ていることに気づいた。
ニコに対して「かわいい」「こんな子が身近にいたら」という感想は今でも変わらない。
この作品を通して僕はニコ役の大後寿々花さんのファンになり、彼女が出ている作品をチェックしている。
変わったのはロボに対する見方だ。
今になってみるとロボがとても輝いて見える。
高円寺という好立地で広いアパートに住み、趣味のものが所狭しと並べられている。
物はたくさんあるけれど整然としているし、頻繁に人が遊びに来ている。
若いながらマイカーを持っていて、しかもフランス車の旧車だ。とてもオシャレではないか。
…ロボの良いところを挙げ始めるとキリがない。
社会人として立派に働きながら趣味に打ち込んでいて、おちゃらけているようで熱いハートを持っている。
今、ロボに対して抱いたイメージはこのようなものだ。中学生の頃抱いたイメージとは全く違う。
今の僕は、ロボと近い年齢で「会社員」という立場もロボと一緒だ。
自分自身と比べたときに、ロボはとても輝いて見えるのだ。
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2020年3月現在、僕は毎日それなりに楽しく過ごしている。
しかし、ロボのように没頭している趣味があるだろうか。ロボのように熱いハートを持っているだろうか。
そう問われると、答えに詰まってしまう。
周囲からは「ちょっと変わった大人」だと思われても、好きなものにはとことん熱くなれる、そんな大人になりたい。
僕は今とても、ロボになりたいのである。
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ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
これからもたくさん更新していくので、よければお付き合いください。